波佐見焼き見学レポート
6月某日、波佐見焼の知識向上とポケットの制作現場の見学のため、わたしたちは長崎県 波佐見町に向かいました。
波佐見町ってどんなところ?
波佐見町は佐賀県と長崎県の県境に位置する、日本に数ある焼き物の産地のひとつです。
400年の伝統をもつ全国屈指の焼き物の町で町内には陶磁器に関する約400の事業所があり、町内の約2,000人が窯業関係の仕事にたずさわっています。
さっそくポケットの窯元さんにお邪魔しました
ポケットの制作を依頼している耕窯(こうよう)さんは親子3人で制作をされている窯元さん。和食器や素焼人形のほか、なんと骨壷なども作っているとか。手洗いボウルの制作経験もあるとのことで、こちらの要望を聞いて細かく調整してくださいました。
今回は2代目である社長の岩永耕一さんに、ポケット制作の一通りの流れを見せていただきました!
ポケット制作の流れ
焼き物はざっくりすると「型作り →生地成形 → 素焼 → 釉かけ → 本焼成」といった流れで制作します。
波佐見焼はその流れを分業化することで、大量の製品を出荷し発展してきました。
そのため生地を焼いて商品にする「窯元」以外にも、天草陶石を粉砕して陶土にする「陶土屋」、成形で使用する石膏型を作る「型屋」、釉薬の調合を行う「釉薬屋」などがあります。
成形
耕窯さんでは「機械ロクロ」という機械を使い、型に入れた生地を伸ばします。
型の中に陶土を入れてロクロのスイッチを入れると、高速回転を始めます。回転している陶土に鉄板を押し付けることにより、生地が型に沿った形に広がります。
成形ができたらある程度乾燥させます。
水分が抜けた分生地は縮み、型から取り外すことができるようになります。型から外したら、次に削ったり面をなめらかにしたりといった微調整を行い再度乾燥させます。
素焼き
生地が乾燥したら窯で素焼きを行います。素焼きは絵付や釉かけをしやすくするための工程です。
「素焼き」と「本焼き」どちらも同じ窯で行いますが、この日は他の商品の本焼きを行う予定があったため、別の窯を見させていただきました。
これは温度が900度まで上がる電気窯。素焼きと本焼きはそれぞれ温度が違い、素焼きでは約900度、本焼きのときは約1300度ほどで焼きます。
たくさんの商品を素焼きする際は本焼き窯を使用しますが、少量の場合はこちらの窯を使うそう。
釉かけ
素焼きした製品に釉薬(ゆうやく)とよばれる薬品をかける作業です。釉薬は本焼きの際にとけて薄いガラス質の膜となり、この膜が吸水性を無くしたり製品の強度をあげたりします。
また色釉という色のついた釉薬を使うと、釉薬のかかった部分に色付きの膜ができ製品のカラーバリエーションを増やすことができます。
本焼き
釉薬がかかったら、いよいよ本焼きです。
窯に入れることができる量は決まっているため、細かくスケジュールを立てて素焼きと本焼きを行い品物それぞれの納期に間に合うように焼きます。
窯に入れる商品を並べているのは3代目の岩永省吾さん。生地は乾燥のときと同じく、焼くと生地中の水分が抜けて縮むので間隔を狭くして並べます。並べ終わったら、いざ焼成。
完成・検品
製品が完成したら厳しく検品します。
ヒビや割れはもちろん、大きなピンホール(生地に残った空気やホコリなどが焼成後に小さな穴として残ること)がないかなどを確認し、問題なければ梱包を行います。
耕窯さんではほとんどの作業を少人数でおこなっているため、大量生産はできません。そのかわり少数のものをとても丁寧に作られています。
型の保管時にはホコリがつかないようにひとつひとつ布を被せる、こだわりをもってフォルムの調整や色の調整などを行うなど…。
今回見学に伺うことで、改めて窯元さんの細やかな心遣いに気づくことができました。
耕窯のみなさん、見学させていただきありがとうございました!
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